電脳登山部リーダーブログ

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    山の不可思議体験 第6話 霊山の白い影

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      JUGEMテーマ:自然・登山・キャンプ

       

       学生時代のワンゲルでは活動のメインとなる夏合宿はもっぱらヤブコギ山行でした。私が「どうして北アルプスなどの大縦走をしないのですか?」と先輩に尋ねると、「そんなところはウチの夏合宿を経験すれば自分で行ける。合宿はみんなで力を合わせないと行けないところに行くんだ。それに上越国境や会越国境近辺の山に行けば、アルプスなんてどーでもよくなるゾ!」と、現在の登山ブームを牽引する人たちが聞けば、激しく顰蹙をかうようなことを言っていました。しかし今思えば確かに、真夏の上越・会越国境や南会津の山々の草いきれの中を歩けば、他では経験したことのない自然のパワーみたいなものが漲っているのを感じ、自分が山の中にいることの充実感や幸せな感情に満たされる、そして山に入って3日も経てば、この生活が自分にとって「当たり前」のような気分になって、そこにいることに何の違和感も感じなくなる、そんな境地に陥っていたように思います。北アルプスなどの稜線にいて、そんな気持ちになるだろうか?とちょっと思います。

       そしてそんな今、かつて6月初旬に残雪の越後三山を縦走した合宿は、今思い出しても胸が熱くなるほどの感激と感動で、もちろん当時もあながち先輩の文言も嘘ではないなと思わされたものでした。
       そんな記憶からもう一度越後三山縦走をと思って幾度か計画していますが、未だに果たせないでいます。昨年「今年こそは」と勇んで計画を立てていたものの、冬の積雪が多く、残雪が多いと岩稜帯の通過が困難になると考え、5月下旬に単独で偵察に行ってきました。と言ってもゴンドラで主稜線まで上ってしまうお手軽コースで、千本檜小屋辺りまでの積雪を見に行ったのです。

       

      第6話 霊山の白い影
       ロープウェイ頂上駅を出るとすぐに辺りは一面の雪。学生時代の山行に比べて時期は1週間早いのですが、あの時八海山周辺の稜線には全く雪はありませんでした。これはもう今年も無理だな、いい年こいて無理して残雪の中を登って滑落でもしたら、世間の笑いものだ、と既に次週の山行は中止と決めたのですが、とりあえずこの辺りには落ちそうなところはないので、千本檜小屋に向かって登って行きました。
       さすがにこの雪では登山者も少なく、稜線の広いところではトレースが交錯してルートがわかりにくく、無雪期の山行ならまず足を止めることはないのですが、この時は度々逡巡しました。それでも適度に締まった残雪は歩きやすく、時々雪に押し倒された幹や枝を避けるのが面倒なくらいで、グイグイと登って薬師岳の急登をこなせば千本檜小屋。さてどうしようか、まだ時刻も早いし、ちょっと岩稜帯に入ってみようかと考えて、とりあえず地蔵岳、不動岳と辿ってみます。しかし凝灰角礫岩でしょうか?裏妙義のようなコンクリートの塊から中の砂利が顔を出しているような岩。その石が手がかり足がかりにいいと思えば、掴めばポロッと抜け落ちたりします。油断ならない岩で精神的に疲れました。そこで、もういいやということで、少し行って巻道で帰ろうと考えましたが、下を覗くとルンゼ様の急峻な岩場はどこも雪が詰まっており、巻道でこの雪の上をトラバースするのはイヤだなと思って往路を戻ることにしました。
       鎖を降りてもう少しで小屋というところで、かつて若かりし日にごくまれに感じた何だかわからないけどイヤ〜な感じを久々に味わいました。年をとって感受性が鈍くなったのか、とんとご無沙汰のこの感覚、なにかあるぞという第六感でしょうか。それでも小屋が近づいて、そうだ避難小屋を見ておこう、三山縦走の際はまず一日目はここに泊まって翌日はできれば駒ノ小屋まで行きたい、などと現実に戻って考えながら縦走路から別れ、千本檜小屋と避難小屋やトイレ棟の間にのびる屏風道に向かう路地のような道に入った時、出会ってしまいました。
       道の先、最奥の建物の扉の辺りからその向こう側に回りこんでいく、しなやかでふわっとした白い影。即座に女性だと確信しました。進んでいくとその扉は避難小屋の入口でした。小屋の向こう側を覗こうかと思ったのですが、私から逃げていった形なので、見られたくない人を追うような気がしたのでやめました。扉を開けると中は綺麗に整理されて快適に泊まれそうな小屋でした。が、入ってすぐの目立つところに、しばらく前から行方不明の女性の情報提供依頼書が掲げられていました。あぁこの人だなぁと思って、小屋の裏手に向かって、今日私が出会うくらいだから近々誰かがきっと見つけ出してくれますよ、と心の中で話しかけて黙礼してから小屋を後にしました。「山では不思議なことがあるんだよ」


       今年の秋、紅葉狩りを兼ねて、巻機山と八海山を訪ねました。いずれもすごい人出で鎖場などの危険箇所は順番待ちでした。初日は巻機へ。六日町で泊まって翌日八海山。巻機はもう頂稜の紅葉は終了で中腹が見頃でしたが、今年の紅葉は今一つのようでした。八海山も紅葉の美しさで人気ですが、今年は前評判の割には・・・という印象でした。しかし天気も良いことなので、千本檜小屋までのんびり歩いてきました。避難小屋に入ってみると、例の依頼書はなくなっていました。あぁ見つかったんだね、と何だかすごく安心しました。綺麗な白骨で見つかったと信じたいです。

       これで私の話はおしまいです。

       最後にもう一度「山では不思議なことがあるんだよ」

       

      (完)

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